故障につながる?補聴器のお手入れでやってはいけないこと
補聴器を良い状態でより長く使うため、そして故障を減らすため、毎日補聴器のお手入れを行っている補聴器ユーザーが多いと思います。
毎日使い終わった後にお手入れをすることは、補聴器の寿命を伸ばすために大事なことです。しかし、間違った方法でお手入れをすると、逆に故障につながる可能性もあります。
お手入れの時に気をつけたいポイントを確認しましょう。
■補聴器の汚れを落とす時
✖ 補聴器の汚れを落とす時は、強い力でゴシゴシ拭かないでください
補聴器は、耳あかや汗が思った以上に付着し、それが原因で壊れることがあります。夏の終わりから秋のはじめにかけて、補聴器の故障が多くなるのも、この理由がトップです。補聴器に付着した汚れや汗を拭き取り、清潔できれいな状態を保つことで、汚れや水分が補聴器内部へ侵入することを防ぐ効果があるため、毎日行いましょう。
ですが、硬い素材の布で強く擦ったりすると、補聴器表面が傷つく可能性があります。また、耳せんやワイヤーを強く引っ張ると、レシーバーの接続部分に大きな力が加わり、ワイヤーが折れてしまう可能性があります。
●正しい方法:
柔らかい布(メガネ拭き等)で補聴器の本体と耳せんを優しくふき取ります。
✖ 補聴器専用のクリーニング用品以外で掃除しないでください
化粧品や日焼け止め、皮脂等が補聴器に付着すると、拭くだけでは落としにくいものです。また補聴器表面に菌やウィルスがついているかもと気になりますね。洗剤やウェットティッシュ等できれいにしたいと考えてしまうかもしれませんが、それはおすすめできません。その理由は
・一般的なウェットティッシュは水分が多くサビの原因になります。
・油汚れ用の洗剤、高濃度アルコール ・シンナー、ベンジン等は、塗装や補聴器本体を溶かしたり変形させます。
●正しい方法:
頑固な汚れ、補聴器表面の菌やウィルスが気になる場合、補聴器専用の「クリーニングシート」や、「クリーニングスプレー」の使用をお勧めします。乾いたティッシュや綿棒に、クリーニング液をごく少量つけて湿らせて、拭いてください。
また、菌が気になるのなら、おすすめのものがあります。補聴器専用の除菌・乾燥機は、補聴器の乾燥と同時にUV除菌ができるので、ぜひ検討してみてください。
✖ 補聴器の音の出口をブラシで掃除するとき、ブラシを上にしないでください
補聴器の音の出口には耳あかの侵入を防ぐ、ネットのような小さいプロテクターがついています。掃除機のフィルターと同じで、ここに耳あかなどの汚れがたまって、詰まってしまうことがあります。そうすると、補聴器から出る音が小さくなってしまったり、補聴器が壊れてしまったりすることがあります。ですので、毎日専用のブラシで音の出口についている耳垢を優しく落とすことをお勧めします。
耳あかを落とす時にブラシを上してゴシゴシすると、細かく砕いた耳あかやホコリが、プロテクターを通して補聴器内部に入り込み、故障になりやすいので、気をつけてください。
●正しい方法:
必ずブラシを下に、補聴器を上にして、横に動かしてください。
■補聴器を乾燥する時
✖ 補聴器を乾燥する時に下記方法は使わないでください
・ストーブやドライヤー等の高温の風
・直射日光
・電子レンジ
補聴器は精密機械ですから、水分に弱いものです。補聴器を使わない時は乾燥させましょう。
「早くしっかり乾かしたい」と思い、ストーブやドライヤーで熱風をかけたくもなりますが、これらは思っている以上に高温の風が出るので、熱が補聴器の中の精密機器を故障させてしまいます。
また、直射日光のあたる場所やその近くに長時間放置しないでください。「洗濯物は日差しのあたる場所で早く乾く」という発想から、日差しで乾かしたくなりますが、夏の気温が高い時に直射日光が当たると、熱が電子部品にダメージを与える可能性があります。特に充電式補聴器の場合は、内部の充電池が発熱・破裂するおそれがあります。
電池レンジは、マイクロ波が補聴器の内部部品を破壊し、充電池が発火・爆発する可能性があります。絶対に、絶対に使用しないでください。
●正しい方法:
補聴器専用の乾燥ケースや補聴器乾燥機を利用しましょう。
「補聴器乾燥カップ」は、シリカゲルという乾燥材で湿気をじっくり取るものです。乾燥剤は時間が経つと吸湿性が下がりますので、交換しながら使う必要があります。
おすすめなのは上記でも説明した、乾燥・除菌機能がついている乾燥機です。適切な温度の温風で補聴器を乾燥させてくれます。乾燥剤を使わないため、コストを抑えることができ、乾燥剤の買い忘れも心配いりません。さらに、充電式補聴器を充電しながら使用できるタイプもあります。補聴器の毎日のケアをより簡単に効率的に行いたい方は、ぜひご検討ください。
難聴の方にとって補聴器は毎日の生活に欠かすことのできない大切なパートナーです。丁寧にお手入れして、大切に使っていただくと、補聴器はより長く活躍し続けることができるでしょう。ご自宅では難しい細かい部分の掃除は、無理せずに補聴器を購入したお店に定期的に行って、特別な器械でお手入れしてもらうこともお勧めします。