すぐに治療を始めるべき?突発性難聴とは

突発性難聴は文字どおり、ある日突然、急に聞こえが悪くなる病気です。多くの場合、片耳だけに起こります。全く聞こえなくなる重度なものから、耳が詰まった感じだけの軽度なものまで、さまざまなタイプがあります。聴力の回復が困難な種類の難聴がある中で、突発性難聴は、早期に適切な治療を行うと聴力の回復が期待できる病気です。ここでは突発性難聴の症状、原因、対策を説明します。

突発性難聴とは

突発性難聴は、内耳という部分に問題があり音をうまく感じ取れない難聴です。内耳の中には有毛細胞という細胞がたくさんあります。この細胞は、音の振動を電気信号に変換して、聴神経に送っています。この有毛細胞がなんらかの原因で音を上手く拾えなくなると、突発性難聴になります。

突発性難聴は幅広い年代に起こりますが、特に働き盛りの40~60歳代に多くみられます。前日は問題なかったにもかかわらず、次の日には音が聞こえにくくなるなど、前触れなく突然発症することがあります。

 

耳の構造と聞こえの仕組みについてはこちら

突発性難聴の原因は?

突発性難聴はなぜ起こるのでしょうか。有毛細胞に血液を送っている血管の血流障害で機能低下が起こるのが原因だとも、ウイルス感染で有毛細胞が傷つくことが原因だとも言われていますが、現時点でははっきりした原因は特定されていません。

2001年の厚生労働省の調査では、突発性難聴の発症は全国で年間約3万5000人だと推定されました。しかし近年罹患者数が増え続け、厚生労働省特定疾患急性高度難聴調査研究班による2012年調査では、年間7万5000人まで増加したといわれています。患者数をみる限りは稀な病気で「私とは関係ない」と思われるかもしれませんが、普段健康な人でも発症する恐れのある病気です。発症頻度に男女差はなく、発症しやすい季節もありません。働き盛りの人はだれでも、あるとき突然、この病気を発症する可能性があります。

突発性難聴の前兆と治療

耳鼻咽喉科の先生は、次のような症状に気付いたら、できるだけ早く受診するようにと呼びかけています。
・耳が詰まった感じがする(耳閉感)
・音が二重に聞こえる、響く、エコーがかかる
・耳鳴りが続く
・めまいや吐き気がある
・このような症状の後、聞こえにくさを感じる

突発性難聴の症状は様々です。発症しても少し聞きづらい程度、と言う人もいるので、「おかしいな」と思いながらも、放置されがちです。しかし、突発性難聴は早期に治療しないと元の聴力に戻らない可能性もあります。なぜなら、有毛細胞のダメージは時が経つほど重くなり、やがて完全に損傷してしまうからです。この細胞はいったん損傷したら元に戻りません。診断が遅れると、治療のタイミングを逃しかねません。

治療開始は症状発症から1週間以内、遅くても2週間以内と覚えておきましょう。また突発性難聴は、急性低音障害型感音難聴や、メニエール病と症状が良く似ていますので、これらの耳の病気と区別するためにも、早めに受診しましょう。発症後1週間以内に適切な治療を受けることで、約40%の人は完治し、50%の人はなんらかの改善があると言われています。

日常生活上の注意点と難聴が残った場合の対策

突発性難聴は原因不明ですが、ストレス、過労、睡眠不足、不規則な生活などがあると起こりやすいことが知られています。糖尿病の影響があるという説もあります。従って、まず肉体的・精神的ストレスや疲れ、睡眠不足など、誘因となることを避けるように、規則正しい健康的な生活を心がけましょう。

万が一、難聴が残ってしまった場合、補聴器は聞こえの改善に役に立つ可能性はあります。ですが、補聴器の使用は症状が安定してから、耳鼻咽喉科の医者の診断の元でご検討ください。また、片耳の聴力が著しく低下した場合には、聞こえない耳周辺の音を集め、聞こえる耳に転送して聞くCROS(クロス)補聴システムを利用することをお勧めします。


 

CROS(クロス)補聴システムについてはこちら

トップへ