マスク越しの声が聞き取りづらい!そんなとき…

新型コロナウィルス・インフルエンザなどの感染症予防や、花粉症の症状軽減のためなど、「マスクの着用」はすっかり日常生活に定着しています。しかし「マスクを着けた人の声は、どうにも聞きづらい」と感じている難聴者の人も多いかと思います。マスクは聞き取りにどのような影響を与えているのか、どうすればその影響を軽減できるのか、当社独自の研究結果を通して説明します。

どうしてマスクで難聴者がコミュニケーションしづらくなるのか

日本では新型コロナウイルス感染症(COVID-19)流行下で、マスク着用が推奨されました。2023年5月に新型コロナウイルスが5類に引き下げられたましたが、大阪大学のある研究によると、「マスクを頻繁に着用する」と回答した人は若干減ったものの、「自身や他の人への感染予防」を考えてマスクを続けて着用する人はまだ多いようです*。

マスクを装用すると、顔が半分隠れることになります。この状態で会話をするのは、難聴者や補聴器装用者にとって大きな負担となります。その理由は大きく2つあります。

1.口の動きが見えない

難聴者の多くは、人の表情や口の動きを見て多くの情報を読み取り、聞こえていない音声情報を補おうとします。マスクで表情や口元が隠れてしまうと、その大切な情報を読み取ることができなくなります。

2.音声自体が影響を受ける

一言でいうと「マスクにさえぎられて声がこもる」ということです。音声信号の一部(特定の周波数帯)がマスクにさえぎられるので、普段聞いている音とは違って聞こえてきます。そのため、聞き取るのが難しくなるのです。

*大阪大学の「5類移行前後でマスク着用率とマスク着用に関する理由」の研究の詳細はこちら

マスクで話し声がどう変わるのか

人間の日常的な会話は250Hz~4,000Hzの周波数帯にあります。マスクをするとマスクは吸音材として働き、音声を吸収してしまうのです。当社の研究では、市販のマスクをつけている場合、2,000Hz~7,000Hzの間の高めの音が減衰してしまい、声のバランスが変わることが分かりました。それで「マスク越しの声がこもって聞こえる」のです。
また、多くの医療関係者が使用している、密封性の高いN95マスクは、一般的なマスクに比べて、音声信号がもっと減衰することが報告されました。難聴者にとって病院ではもっと聞きにくくなるということですね。
また、スーパーやコンビニのレジなどにある透明のシートや、喫茶店などに置いてあるアクリルボード。飛沫拡散防止用のこれらもまた、聞き取りを難しくする一因です。

マスク着用時のコミュニケーションのヒント

マスクをした状態で難聴の人と円滑に会話をするためには、次のような点に配慮することが大切です。

  • 会話の際には難聴者の正面に立つ
  • 可能であれば透明なフェイスシールドの使用を利用して、口元を見せる
  • 最低限のソーシャルディスタンスを保ちながら、なるべく近くで会話する
  • 話すときはゆっくり、はっきり発音するよう心掛ける
  • 環境の雑音を可能な限り小さくする
  • 紙に書いた情報やジェスチャーなどを併せて使用する

シグニア補聴器はマスク越しの会話もより聞きやすくなる

補聴器を使用している方は、補聴器の音を調整することでもマスク着用時の声が聞き取りやすくなる可能性があります。ぜひ補聴器を購入した販売店に相談してみてください。

また、当社Signia IXSignia AXSignia XperienceシリーズのBluetooth搭載補聴器や、人気のイヤフォン型補聴器Signia Activeは、マスク着用時の会話をしっかりサポートします。これらの製品は当社従来製品と比較して、マスクで影響されやすい2,000Hz以上の高めの音を調整し、マスク越しのこもった声も聞こえやすいように耳に届けます。
さらにこれらの製品をご使用の方は、「マスクモード」がご利用いただけます。当社が提供しているスマホアプリ「シグニア アプリ」を開いたら、画面上に「マスクモード」のアイコンが表示されます。そのアイコンをタップするだけで、マスク越しの声をさらにしっかり聞くことができます。「話相手が分厚いマスクを着けている」、「話相手がマスクと、さらにシールドもつけている」等、普段よりも聞き取りにくい場合、「マスクモード」を使うと良いでしょう。

この「マスクモード」を使用した場合、使わない場合に比べて、音が減衰しやすい2kHz以上を約6dB増幅します。

 

【ご注意】

両耳装用の場合、両耳ともマスクモードになります。
プログラム1(標準)にのみ、マスクモードアイコンが表示されて利用できます。
補聴器の電源をオフすると、マスクモードは解除されます。

Signia appの取得およびPDF版使い方ガイドは、シグニアWEBページをご利用ください。

【シグニアアプリの詳細はこちら】

 

マスク着用の方針が「個人の判断」に委ねられるようになってからも、マスクの着用を続ける人が多いようです。特に花粉症やインフルエンザ等の流行する時期は、マスクを着けたくなりますよね。

マスク着用が日常となった今、会話の時に筆談やジェスチャーを併用する等で、難聴者にも聞きやすい環境を作ることが大事です。このような工夫をすると、健聴者の人も聞き取りやすくなりますので、日ごろから気を付けていきたいものです。

 

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