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オージオグラム(聴力図)とは?自分の聴力をもっと理解するために

耳鼻咽喉科や補聴器販売店で聴力検査(測定)を受けたことがある方は、自分の聴力を示した図「オージオグラム」を見たことがあるのではないでしょうか。自分の聴力を把握するために、オージオグラムとは何か、またその見方について理解しましょう。

聴力検査(測定)とオージオグラム

聴力検査(測定)は、静かな環境(防音室など)でヘッドフォンを装着し、「オージオメーター」という機械から出たいろいろな音を聞きます。音が聞こえてきたらボタンを押したりして、測定しているスタッフにお知らせします。

聴力検査では、さまざまな高さの音を、様々な音量で聞きます。すると、音の高さごとに、聞き取ることができた最小の音量がわかります。

この結果は「オージオグラム」というグラフに記載されます。

聴力に関係している二つの要素


検査結果をオージオグラムに記載するときは、次の2つの要素に分けて表されます。

●音の大きさ 

人の耳で感じる音の大きさは、デシベル (dB)で表します。

健聴者が全く音が聞き取れない無音状態が0dBと設定されています。 0~20 dB は非常に小さい音で、人間の会話は60dBくらい。110dBは非常にうるさく感じ、50メートル先にジェット機が飛ぶぐらいの音量です。

●音の高さ 

音の高さをイメージするには、ピアノ等の鍵盤楽器を思い浮かべてください。鍵盤の左側から右側に向かって音がだんだん高くなりますよね。このように、音には様々な高さがあります。

音の高さの違いはどのように決まるのでしょうか。音は空気が振動することで発生します。音の「高さ」は振動の速さ(1秒間に何回振動するか)で決まります。振動がゆっくりな場合は数値が小さく、人間の耳には低い音として聞こえます。振動が速い場合は数値が大きく、高い音として聞こえます。この振動数を「周波数」といい、一般的に「Hz(ヘルツ)」という単位で表されます。人間の耳で聞くことができるのは、一般に20Hz~20,000Hzの音だと言われています。人間が聞き取れない20,000Hz以上の音は「超音波」と呼ばれています。

周波数と聴力について詳しくはこちら

オージオグラムは二つの要素を表すグラフ

 

オージオグラムは、音の大きさと高さを組み合わせたグラフです。

縦軸は、「音の大きさ」(音量・デシベルdB)を表しており、上にあるほど音が小さく、下に行くほど大きくなります。

横軸は、「音の高さ」(周波数・Hz)を表しており、左端は低い音、右側は高い音を表しています。

私たちの環境には、さまざまな音が存在しますが、これらの音は「音の大きさと音の高さ」がわかれば、このオージオグラムにマッピングすることができます。

例えば小鳥の鳴き声は、「音量が小さくて高い音」なので、グラフの右上にあります。

トラックの走行音は「大きくて低い音」なので、グラフの左下に。

一般的な日常会話は真ん中あたりに位置しますが範囲が広く、だいたい250Hzから4,000Hzの間で、音量が60dBくらいです。

正常な聴力を持つ人が聞こえる範囲を「可聴域」と呼びます。この可聴域は、ずっと変わらないものではなく、様々な理由で変化します。加齢もその一つ。多くの場合、周波数が高い音から聞きづらくなり、聞こえる音の範囲(可聴域)が狭くなります。

難聴の兆候はこちらをご確認ください

オージオグラムの記号の説明

 

上記の図は、左耳に難聴がある人の、左耳の聴力のみを記載したオージオグラムの例です。オージオグラムの記号には次のものがあります。もし手元にオージオグラムがありましたら、ぜひ一緒にご確認ください。


●「X」は、その音の高さで左耳が聞こえる最小の音量を示します(右耳の場合は「O」になる)

●「青い線」はXを繋いだもので、左耳の聴力レベルを示します(右耳の場合は「赤い線」になる)

青い線より下の部分、図の中の青いエリアは聞こえる音、つまり「可聴域」で、線より上の部分の白いエリアは聞こえない音です。

私たちの会話の音は上記オージオグラムの中の黄色いエリアに分布しています。なんだか形がバナナに似ているので、このエリアは「スピーチバナナ」と呼ばれます。難聴になると、このスピーチバナナ内にある音が一部聞こえなくなり、会話を理解することが難しくなります。

この図の例の場合、スピーチバナナのほとんどが青い部分からはみ出してしまっていますね。つまり、この人の左耳は、人の声の大部分を聞き取ることが出来なくなっている、ということです。

オージオグラムと難聴の種類

 

オージオグラムからは、難聴の種類を推定することができます。

まず難聴の種類について説明します。

一言で「難聴」といっても様々な種類があります。大きく分けると、「伝音難聴」、「感音難聴」、「混合性難聴」の3つ。 これらの難聴は、耳のどこで障害が起こっているかによって分けられています。

音は外耳と中耳を通って耳の奥の内耳に入ります。内耳には音の感覚刺激を生み出す渦巻き状の器官、蝸牛があります。蝸牛の内部に、音を電気信号に変える有毛細胞が並んでおり、外から伝わってきた音を神経、そして脳に伝えています。


●伝音難聴:「外耳」や「中耳」になんらかの障害があることで起こります。耳に入った音は耳のあなを通って鼓膜に伝わり、内耳に導かれます。この、物理的に音を伝達していく経路のどこかに障害がある場合が伝音難聴です。耳栓をしたり指で耳を塞いだりして周りの音を聞くと、伝音難聴の聞こえに近い体験ができます。

●感音難聴:外耳・中耳を伝わってきた音は、「内耳」で電気信号に変えられますが、内耳の中の細胞が傷つくなどして、音をうまく脳に伝えることが出来ない状態が、感音難聴です。高齢者の耳が遠くなる、加齢性の難聴も感音難聴の一つです。また、遺伝的な要因、音響外傷、または大きな音に長時間さらされる騒音性の難聴が含まれます。

●混合性難聴は、感音難聴と伝音難聴が組み合わさった難聴です。


伝音難聴について詳しくはこちら

感音難聴について詳しくはこちら

混合性難聴について詳しくはこちら

気導聴力と骨導聴力

 

人の聴力は、2種類の聴力が合わさっています。一つが「気導聴力」で、耳のあなを通って入ってきた音を聞く力です。

もう一つが「骨導聴力」。これは、頭の骨を伝わってきた振動を音としてとらえる力です。例えば、頭をたたいたり歯をかみ合わせると音が聞こえますよね。これは骨を通じて振動が直接内耳に伝わり、内耳で「音」として判断しているのです。


●気導聴力:ヘッドフォンで音を聞いて聴力を検査(測定)します。

●骨導聴力:骨導端子を耳の後ろの骨に当てて、振動を伝えて聴力を検査(測定)します。


オージオグラムでは骨導聴力を「コ」で表します。

青い「コ」:左耳の骨導聴力

赤い「匚」:右耳の骨導聴力

これで、一つのグラフの上に骨導聴力と気導聴力があらわされました。この2種類の聴力の数値の差で、聞こえの問題がどの部位の異常によるものかを大まかに判断することができます。

骨導聴力は正常で、気導聴力が悪い ⇒ 内耳に問題がないので、伝音難聴の可能性が高い

気導聴力も骨導聴力も同じくらい悪い ⇒ 内耳に問題があるので、感音難聴の可能性が高い

骨導聴力も悪いが、気導聴力の方がもっと悪い ⇒ 混合性難聴の可能性が高い


難聴の原因は複雑で、オージオグラムの数値だけで断定することはできません。症状によっては他の聞こえの検査をしなければ診断がつかない場合がありますので、まず耳鼻咽喉科で聴力検査することをお勧めします。

 

ゆっくり進行する難聴、特に加齢による難聴は、自覚しにくいのが特徴です。聞こえの悪さを自覚していなくても、聴力検査で難聴が見つかることも多くあります。聴力検査はもっとも基本的で重要な検査です。定期的に検査を受けて、オージオグラムをチェックしてみてください。また、難聴かなと思ったら、早めに耳鼻咽喉科の医師に相談しましょう。


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