聴力にまつわる面白い事実 鳥は「聞き分け」がいい?

鳥は一般的に人間に比べて聞こえる音の範囲が狭いと言われています。しかし、鳥の聴力は人間に比べ劣っているわけではありません。それはなぜでしょうか。

鳥の耳はどこにあるの?

鳥には耳がないように見えますが、実はやはり音を聞くための耳はあるのです。確かに鳥の頭には人間や、ウサギ、ゾウなどの哺乳類のような、体の外側にでっぱっている部分はありません。この部分は、「耳介」といい、音を拾いやすくする集音効果があります。


多くの鳥類にはこの耳介はありませんが、耳の穴である「耳孔」があります。通常羽に覆われているため、あまり見たことがないかもしれません。耳孔の中は人間と同じく音を感じとる器官があり、これで音を聞いているのです。なぜ耳のでっぱりがないかというと、速く飛ぶ時に風の抵抗と雑音を減らすためこのように進化したと考えられています。


鳥の聴力の特徴

鳥類はニワトリなど人間より広い範囲の音を聞こえる種類もいますが、一般的に鳥が聞き取れる周波数帯は200Hz 〜 8000Hzで、人間より劣る種類が多いといわれています。つまり人間が聞き取れる、とても低い音やモスキート音のような高い音は、多くの鳥には聞こえません。 

鳥は聞こえる音の範囲が狭いのですが、感度はとてもよく、聞こえる周波数内の二つの音の些細な違いでも聞き分けられるといわれています。例えばおしゃべりが上手なインコやオウムは聞いた音を再現し、人間の言葉を話すことができます。鳥類が狭い範囲で優れた音の弁別能力を持つのは環境に適応した結果だと思われています。

鳥の優れた能力の活用

第一次世界大戦中のフランスでは、鳥のこのような驚くべき聴覚能力を活かして、接近した敵機を発見するためにエッフェル塔でオウムを飼っていたそうです。 オウムは、戦闘機や旅客機、ヘリコプターなどさまざまな航空機の音を覚え、航空機が来るたびにしゃがむように訓練されました。結果として20マイル離れたところの航空機を識別できたといわれています。

音を聞き分ける力も聴力の重要な指標

哺乳類の中で人間の聞こえる範囲は狭いほうですが、その代わり高い音弁別の能力を持っているといわれています。人間にとって、聞く目的の多くは「言葉を理解する」ためです。ですが、聴力の衰えで時には「音は聞こえるけど、なんて言っているのか聞き取れない」ということが起こるのです。それは、語音を聞き分ける能力が落ちたからです。


「音を言葉として認識する」にはとても複雑なステップを踏む必要があります。音を聞き、それを判別し、言葉に変換して、理解する。この能力が低下すると、補聴器で音をいくら大きくしても、言葉として理解できないのです。耳が遠くなったと悩んでいる方は、補聴器を検討する際に、自分の語音を弁別する能力がどうなっているのか、医師や補聴器販売員にしっかりと相談した上で、購入を検討してください。

トップへ