梅雨時の体調不良には、耳も関係している?
梅雨の時期は季節の変わり目です。雨が続いたり、突然晴れたりと、日ごとの天気の変化が激しい時期です。天気が変化するということは、気圧が変化するということ。気圧の変化は耳にも影響を与え、耳の痛みや耳鳴り等の症状を引き起こしていると言われています。
気圧変化に影響される人が意外に多い?
梅雨の季節になると、耳鼻咽喉科では「耳が痛い」、「耳が詰まって聞き取りづらい」、「耳鳴りがする」と訴える患者さんが増えるそうです。検査をしても「外耳炎」や「中耳炎」などの耳の病気がなく、至って正常に見えます。このように、病気ではなく、温度、湿度の変化の影響を受けて引き起こされる耳の不調は、「気象病」、「天気痛」の一種といわれています。
気象病(きしょうびょう、英: meteoropathy)は、近年認知されつつある病名で、気象・天候の変化によって症状が出る、あるいは悪化する疾患の総称だそうです。耳の症状だけではなく、めまい、吐き気、頭痛、腰痛等の全身症状や、気分の落ち込み、うつ等の心に関する症状を表す人もいます。また、梅雨の季節だけではなく、寒暖差が大きい春先や台風シーズンも気圧の変化が激しいので、体調不良に悩まされる人が多いようです。
この気象病の影響は人によってさまざまで、湿度や気圧の変化によって体調に変化が生じる人もいれば、何も影響を感じない人もいて、個人差が大きいのです。ウェザーニュースが2019年に8000人以上に対して実施した調査で、「梅雨時期は他の季節に比べて体に不調が出やすいですか?」という質問をしたところ、「不調が出やすい」という回答は42%でした。男女別でみると女性は54%と平均より高く、女性の方が不調が出やすいという結果が出ました。
耳は不思議な器官
耳は、驚くべき高度な機能を備え、非常に複雑な働きをしています。耳は音を聞いたり、身体のバランス感覚を保つ大切な器官です。しかしそれだけではなく、最近の研究では、耳には「気圧の変化」を感知する能力もあることがわかってきました。耳の奥にある内耳の神経細胞が気圧の変化を感じ取り、情報が脳に伝わります。脳が急激な変化を感じると、自律神経のバランスが乱れてしまいます。その結果、血流の変化などで耳鳴りや耳痛が引き起こされるということです。このメカニズムの解明が進めば、耳鳴りなどの対処方法の確立につながるかもしれませんね。
「気象病」を専門とする医者によると、気圧の変化を察知するのは内耳(鼓膜よりさらに奥の部分)なので、耳と耳の周りを温めたり、もみほぐすことで血行が良くなります。すると内耳の状態が改善し、さらに体の不調をやわらげる効果があるそうです。いろいろな医療関係サイトで、「耳を温める方法方」や「ぐるぐる耳マッサージ」等の対処法が紹介されていますので、ぜひ参考にしてください。
耳の不調は難聴が原因かも
耳の詰まり感、耳鳴り、めまいは、気圧のせいではなく難聴によって起きている可能性もあります。低音が聞こえづらくなる「急性低音障害型感音難聴」、「メニエール病」、「突発性難聴」などの耳の病気は、これらの症状が伴うことが多いのです。また、いつも耳鳴りを感じている場合、慢性的な感音難聴が隠されているかもしれません。
耳や聴力に何か異常があれば、まず耳鼻咽喉科を受診してください。診察や聴力検査で、難聴の有無と不調の原因が明らかになるので安心できますね。
耳の働きと加齢性難聴
耳の働きについては、今も様々な研究が進められていますが、私たちにとって一番身近な機能は、やはり「音を聞くこと」ですね。しかし、耳は加齢やストレスによって聞こえづらくなる場合があります。特に加齢に伴う難聴は、誰にも起こりうるごく自然なことです。今はまだ症状がなくても、あるいは症状が軽くても、今のうちに耳について知識を深めておいてください。耳を傷めない方法や難聴の兆候が見られたときの対処法を覚えておくことは、とても大切です。ご自身のためにも、そして家族や身近な人のためにも、ぜひ知っておいてください。
難聴が進行すると、聞こえない事実以外にも、様々な弊害が発生します。近年、難聴が生活やコミュニケーションに及ぼす影響、また認知症との関係性についても多くの研究がなされています。難聴の症状が現れた場合、まずは耳鼻科で診察してもらい、補聴器が役に立つ場合、早めに補聴器を使って脳に音を届けましょう。