
特定の音を不快に感じるのはなぜ?もしかして聴覚過敏?
黒板をひっかく音やフォークで皿をひっかく音など、多くの人が不快と感じる音があります。なぜそのような音はみんなに嫌われるのでしょうか?また、たいていの人は普通に感じる音でも、不快に感じる人がいます。なぜそのようなことが起こるのでしょうか。
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聞こえについて
耳鳴りについて
不快な音は遺伝子に刷り込まれた記憶?
上の例の他にも、発泡スチロール同士をする音や、ブレーキのキーキーと鳴る音等、このような甲高い音は私たち人間の耳は特に敏感に反応するものです。1986年の脳神経学者の研究では、嫌な音には共通点があり、2,000~5,000Hzの周波数帯にあることが明らかになりました。しかしその敏感さがどこから来るのかについては、いまだに議論されています。このような音は危険を伴う音として、遠い祖先が持っていた反射行動の名残ではないかと考える学者もいます。
大きな音
また、大きな音にさらされると人間は不快に感じます。大きな音は耳の中の音を感じ取る有毛細胞に損傷を与えるため、不快な音として感じるのは当然です。実際85dBを超える音環境に長時間にいると、「音響外傷」が生じ難聴を引き起こす可能性があります。音響外傷はめまい、耳の痛み、耳鳴りや聞こえの低下等の症状が現れます。耳へのダメージを避けるため、別の環境に切り替えたり、音量を下げたりして、大きな音にさらされないように聴覚を保護する必要があります。
聴覚過敏
また、多くの人にとっては気にならない音が、耐えられないほど不快に感じる人は、聴覚過敏の可能性が高いです。聴覚過敏とは、日常の環境音などが過度に大きく聞こえる症状で、不快感だけでなく耳の奥が痛くなったり頭痛やめまいなどを伴うこともあります。
聴覚過敏の場合、人の話し声、家電の音、音楽、小さいノイズ等、いろんな音に敏感な人がいて、個人によって症状や度合いもさまざまです。
聴覚過敏の原因と治療
聴覚過敏の原因も様々で、耳の機能に関するもの、てんかん、偏頭痛やうつ病等の脳の機能に関するもの、ストレスによるもの等があると言われてます。
突発性難聴やメニエール病などの難聴が発生した場合、耳の中の音を感じ取る有毛細胞が一部損傷し、周りの有毛細胞がその機能低下をカバーしようとして異常に反応してしまい、音が大きくて響いたり、割れるように聞こえたりする現象(聴覚補充現象)が発生します。
聴覚過敏そのものの治療法は、まだ完全に確立していませんが、難聴により聴覚過敏が起こった場合は、早期に難聴の治療を行います。耳鳴り治療法として知られているTRT( Tinnitus Retraining Therapy)がこのタイプの聴覚過敏に有効な場合があります。TRTは耳鳴り治療器を耳に装着して、不快とならない程度のノイズを一日一定時間聞くことで、音が聞こえている状態に慣れさせて生活障害を軽減させます。
聴覚過敏かもしれない、また聴覚過敏の症状があるが耳の機能が原因なのか分からず、どこを受診するべきか迷ったときは、まず耳鼻咽喉科で相談してみてください。場合によっては、神経内科や精神科で診療する必要がありますが、原因を明らかにしてからこそ適切な治療を検討できますので、ぜひ早めに対処しましょう。