難聴者の交通安全について考える。補聴器ができることは?
今年も4月上旬に「春の全国交通安全運動」が実施されました。内閣府、警察庁、交通安全協会などの政府機関と関連機構が、交通安全の普及啓発活動を全国各地で一斉に行います。「交通安全」と書かれたポスター等を目にすることが多かったのではないでしょうか。
交通事故が一番多いのは、秋から冬にかけての日没が早い季節だと言われています。なのになぜ、春の時期に交通安全運動を行うのでしょうか。
4月は子供と高齢者の交通事故が多い
その理由の一つは、4月に子供と高齢者の交通事故が多いからです。
春は小学校の新入学生など、児童が街中を歩きだす季節。朝夕の登下校時間帯に、まだ「通学」に慣れていない子供たちが急に飛び出したりします。また、新たに自転車で通学する生徒が増え、自転車による事故も多発します。
高齢者の方は、暖かくなってくるとお出かけされる方が増えます。
歩行者や自転車使用者自身が気を付けるのはもちろんのこと、車のドライバーもこの時期の特徴を踏まえて、ぜひ交通安全を心掛けていただきたいと思います。
春の運転は要注意?難聴の方はぜひ補聴器をつけて
春に自動車を運転する場合、冬からの解放感でついスピードを出し過ぎたり、春の陽気からくる眠気や環境の変化による疲れで集中力が落ちたりすることがあります。
また、花粉症の薬の影響で眠くなってしまったり、くしゃみをするタイミングで事故を引き起こしてしまう可能性もあります。 さらに新生活に向けて免許を取得した初心者ドライバーが増加し、事故の危険性が高まります。
また、運転に必要な認知力と聴覚には、深い関係性があります。人間は目から入ってくる視覚情報に、耳でとらえた音声情報を合わせて、刻々と変化する事象を認知・判断しています。どちらが欠けても正確な判断が難しくなります。
例えば、救急車のサイレンは聞こえるのに、目で救急車をとらえるまではどこから来ているのか分からない、という経験をしたことはありませんか?視覚と聴覚、両方の情報をしっかりと受け取ることは、安全運転にとってとても重要なことです。 もし聴覚が衰えていると感じる場合は、より慎重に安全確認をするのはもちろん、耳鼻咽喉科で聴力検査をしてもらい、必要な場合は補聴器等の補助器具の使用もご検討ください。
補聴器は歩行時の危険の回避を助ける
それでは、歩行者に難聴がある場合はどうでしょうか。 音の情報が少ない分、視覚情報への依存度が高くなります。しかし、視界の外から速いスピードで近づく車や自転車の存在に気付くのは、なかなか難しいものです。 特に、歩道を歩いているときに、後ろから近づいてくる自転車に気づかずにヒヤリとした、という体験は、難聴の方の多くが経験しているようです。
車や自転車の運転者は歩行者の聞こえの状態を知りませんから、「車の・自転車の音がしているから、この歩行者は気づいているだろう」と思うのは当然かもしれません。
もちろん運転者には「だろう運転(~だろうと決めつけて運転すること)」をしないように気を付けていただきたいですが、歩行者も自分で対策する必要があります。
歩行者の心がけで大切なのは、常に周囲の状況に注意を払い、危険を探すつもりで行動するぐらいの意識です。道路を歩く時は、車や自転車が来ないか頻繁に前後左右をしっかり確認しましょう。
また補聴器などの補助器具は、周囲の環境を把握して危険を未然に防ぐのを助けてくれますので、ぜひ検討してください。さらに両耳に補聴器を装用した場合は、より方向感覚がつかみやすく安全につながります。
最近、耳が聞こえづらくなってきたと感じる人、運転が不安になってきた人は、交通安全のためにもぜひ聴力検査を受けてみてください。シグニアのウェブサイトにあるオンライン聞こえチェックで、聴覚の衰えを簡易的にチェックすることができます。医者の診断にとって代わるものではありませんが、自分の現在の聴力を把握するのに役に立ちます。