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聴力にまつわる面白い事実 - その3ヘビには耳はない?

ヘビは、人間や犬、猫のように、頭の外側には耳らしいものがついていません。耳が無いヘビに、聴力はあるのでしょうか。

実はヘビの聴力は非常に優れている


ヘビは耳を持っていませんが、その聴力は地面の振動や草がわずかに動く音すらも感知できるほど非常に優れていると言われています。地面の振動だけではなく、低周波の空中音が聞こえる場合もあります。

ヘビはどのように音を聞いているか

 人間の場合、耳の穴から音が入り、「鼓膜」が振動します。「内耳」と呼ばれる器官がその振動を感じ取り、聴力を得ています。

ヘビはこの「鼓膜」を持っていませんが、体の内側に「内耳」は存在しているのです。ヘビは耳の穴や鼓膜を通さず、体の表面にあたった振動が、下顎等の骨や筋肉などを通じて直接内耳に伝わり、音を感知しているといわれています。

インドのヘビ使いが笛を吹き、カゴに入っているコブラを操る芸は見たことがありませんか?ヘビは笛の音が好きで踊っているように見えますね。ですが、ヘビは笛の音だけでは反応しないと検証されたようです。笛の音は聞こえていないのですが、ヘビ使いが足でカゴを叩く振動や目の前の笛の動きに反応しているという説もあります。

ヘビは音を聞くことができているとは言え、人間や犬、猫に比べると聞き取れるのは低い音に限られています。

音の高低は周波数という数値で表されます。低い音は周波数が低く、高い音は周波数が高くなります。人間が聞くことができる音は、一般的に20Hz(ヘルツ)~20,000Hzです。一般的にヘビが感知できる音の高さは、約50Hz~1,000Hzだと言われています※。

ただしヘビは、小動物が近くを歩くときに起こす小さな音とわずかな地面の振動だけで、獲物の位置が正確にわかってしまうそうです。ヘビの聴力は、摂食、逃避、攻撃等の行動に必要な低い音を聞くように進化してきたかもしれません。

他の動物も、聞こえる音の範囲が生存する環境や行動によって違ってきます。動物の聴力は現在でも未知な部分が多く、盛んに研究が行われています。

※ リリーホワイト,2019. 「ヘビという生き方」 監訳 細将貴, 東海大学出版, 264p

犬や猫の聴力についてはこちら

内耳とは?

動物学者によると、動物の「真の聴覚系」と呼べるものは、脊椎動物に進化して初めて出現したそうです。ヘビのような爬虫類だけでなく、魚類や両生類も「耳」らしいものはないのですが、頭の中には内耳があり、それを使って音を聞いているそうです。

この「内耳」という器官は、とても複雑で重要な働きをする部分です。

人間の耳をのぞき込むと、奥の方に鼓膜が見えて行き止まりになっています。内耳は、この鼓膜のさらに奥にある、骨の中に埋もれている器官です。

人間の内耳の中には、かたつむりのような形の「蝸牛(かぎゅう)」があります。蝸牛の内側には有毛細胞(ゆうもうさいぼう)という感覚細胞が並んでいます。蝸牛に届いた音が有毛細胞を震わせ、その振動が電気信号に変換されて大脳に伝わります。その電気信号を脳で処理することで、意味のある音として捉えることができるようになるのです。

内耳は音を感知するためのとても重要な器官です。


耳の構造と聴覚の仕組みの詳細はこちら

内耳と加齢性難聴

内耳の感じ取る音の範囲は一定ではなく、様々な理由で変化します。最も良く見るのは、年を取るにつれて聞こえる音の範囲が狭くなることです。つまり、若い時に聞こえていた音が聞こえなくなり、「加齢性難聴」が発生するのです。

自然なことですが、人間が年を取るとともに、蝸牛の中の有毛細胞も老化していきます。蝸牛の入り口付近の有毛細胞は高い音を、奥に進むにつれて低い音を感知しています。入口付近にある有毛細胞が一番ダメージを受けやすいため、一般的に高い音の感知機能が最初に低下します。加齢性難聴が通常高い音から聞こえにくくなるのはそのためです。

加齢性難聴について詳しくはこちら

「高い音が聞きにくい」ということは、しばしば加齢性難聴における最初の兆候です。自覚症状がある場合、まず耳鼻科などで聴力検査を受けることをお勧めします。その際にシグニアのオンライン簡単聞こえチェックツールもご活用ください。

思わしくない結果が出た場合、耳鼻科の先生に相談してみてください。先生は難聴の程度を診断し、どのような対処法があるか、また補聴器が役に立つかどうか判断してくれます。補聴器が必要な場合、補聴器販売店の専門スタッフがあなたと一緒に適切な補聴器を選んでくれるはずです。

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