「除夜の鐘」の音量は?耳を傷める騒音レベルについて

大晦日と言えば、紅白歌合戦、年越しそば、そして深夜の「除夜の鐘」ですね。夜の冷たく澄んだ空気に響く鐘の音は、過ぎゆく今年を思い起こさせ、心を穏やかにしてくれる年末年始の風物詩。ところで最近はこの除夜の鐘が「うるさい」という苦情が寄せられているというニュースもあります。除夜の鐘は騒音なのか?本当に耳を傷める音量とは?

「除夜の鐘」とは?

「除夜の鐘」は、大晦日の深夜から、年が変わる元旦にかけてつく鐘のことです。お寺にある鐘の正式名称は「梵鐘(ぼんしょう)」、大晦日に鐘をつくのは仏教の伝統行事です。鐘をつく回数は多くのお寺で108回とされています。なぜ鐘を108回つくのかは諸説ありますが、108個あると言われる人間が持つ煩悩を静めるためだそうです。

鐘の澄んだ音を聞くと、心に響き、清らかな気持ちになるという方も多いようですが、なぜでしょうか。日本の梵鐘の産地のひとつ、富山県高岡市の職人によると、他にも鐘を鳴らす風習がある国はありますが、それぞれに音色が違うそうで、日本では落ち着きのある重低音で長い余韻があることが求められているそうです。「ゴーン」という音は、「時代の流れのなかで日本人の感性がつくり出した音」なんです。その音色や響きを実現するために、合金の配分や焼くときの温度、乾燥させる時間などを厳密にコントロールし、1つの鐘を作るのに最低でも3ヶ月はかかるとのことです。

鐘の音はうるさい?

108回の鐘をつくには1時間から2時間くらいかかるといわれています。まして深夜に行われます。近年では、除夜の鐘の音がうるさいとの苦情が出て、除夜の鐘を鳴らすのをやめたり、時刻を変えて鳴らすお寺も出ています。
では鐘の音は、耳を傷めるほどの音量なのでしょうか。

音の大きさは、デシベル(dB)という単位で測定します。「除夜の鐘」への苦情が話題になった時、鐘の音量をいろいろなお寺で測定したテレビ番組がありました。鐘から5メートルの至近距離で測定すると80dB程度、100メートル離れた地点では60dB程度の音量でした。これは地下鉄の車内に相当する音量です。さらに室内にいると音がより減衰します。

耳を傷める音の範囲は?

私たちの通常の会話は60dB程度の大きさです。それより大きい85~100 dBの音は、6~8時間連続して聞くと耳を傷める可能性が高くなります。さらに大きい110~180 dBの音は、レベルによっては30分も経たないうちに耳を傷めてしまいます。

●85~100 dB(6~8時間で耳を傷める)
激しい交通量
騒がしいバー
ヘアドライヤー
オートバイ
地下鉄(通過音)
ミュージックプレーヤーの最大音量

●110~180 dB(レベルによっては1~30分で耳を傷める)
ロックコンサート(スピーカーの近く)

緊急車両のサイレン
風船の割れる音(耳の近く)
スタジアムの大歓声
爆竹
航空機の離陸

 

【なぜ大きい音が耳を傷めるのかについてはこちら】

 

除夜の鐘を1~2時間断続的に聞くことは、耳を傷めるほどではないといえるでしょう。もちろん音が気になるかどうかは、音の大きさと性質、聞く人の感じ取り方によって変わってきますので、耳を傷めないからと言って苦痛でない訳ではありませんね。
耳を傷めるという点では、長時間・大音量でのイヤフォンの使用や、ロックコンサートなどのほうが注意が必要です。調査によると、85dBを超える音量で音楽を定期的に聞いている人のうち、65%もの人が永久的な聴覚損傷を受けています。音楽だけでなく、映画、テレビ番組、動画コンテンツをヘッドフォンで大音量かつ長時間視聴すると、同じように耳に損害を与える可能性があります。
お正月のお休みにヘッドフォンを利用するときは、音を控えめにして時間を区切ったほうが良いでしょう。また、大きい音がする環境に行く場合は、ぜひ耳せんなどで耳を保護することを検討してください。

 

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