
マスク越しの声が聞き取りづらい!そんなとき…
昨今の新型コロナウイルス感染拡大で長引く「マスク生活」。最近は感染者が急増し、例えば米CDC(米疾病対策センター)は新たなガイドラインを出して高機能マスクの着用を推奨するようになりました。「マスクを着けた人の声は、こもってしまって聞きづらい」と感じている難聴者の方も多いかと思います。
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聞こえについて
補聴器について
ではマスクは聞き取りにどのような影響を与えているのか、どうすればその影響を軽減できるのか、当社独自の研究結果を通してご説明します。
どうして難聴者がコミュニケーションしづらくなるのか
ソーシャルディスタンスの確保やマスク着用などの制約を余儀なくされる中、難聴者や補聴器装用者にとってはこれらの制約がコミュニケーションを図る上での大きな負担となっています。その理由は大きく3つあります。
1.会話相手との物理的距離が拡がる
ソーシャルディスタンスを確保するため、会話相手と距離をとらなければいけません。当然ですが、離れると聞こえてくる音量が下がります。さらに雑音が混じって聞こえづらくなります。
2.マスク着用により口の動きが見えない
難聴の方の多くは、人の表情・口元の動きを見て多くの情報を読み取り、聞こえていない音声情報を補おうとします。マスクで隠れてしまうと、大切な情報も理解しづらくなります。
3.マスク着用により音声自体が影響を受ける
一言でいうと「マスク越しの声がこもる」ということです。音声信号の一部(特定の周波数帯)がマスクの影響を受け、聞き取りづらくなります。
マスクで話し声がどう変わるのか
人間の日常的な会話は250Hz~4,000Hzの周波数帯にあります。当社の研究では、市販のマスクをつけている場合、2,000Hz~7,000Hzの間の高めの音が減衰してしまい、声のバランスが変わります。それで「マスク越しの声がこもって聞こえる」のです。また、多くの医療関係者が使用している、密封性の高いN95マスクは、一般的なサージカルマスクに比べて、音声信号がもっと減衰することが報告されました。難聴者にとって病院ではもっと聞きにくくなるということですね。
また、スーパーやコンビニのレジなどにある透明のシートや、喫茶店などに置いてあるアクリルボード。飛沫拡散防止用のこれらもまた、聞き取りを難しくする一因です。
マスク着用時のコミュニケーションのヒント
- 会話の際には難聴者の正面に立つ
- 可能であれば透明なフェイスシールドの使用を利用して、口元を見せる
- 最低限のソーシャルディスタンスを保ちながら、なるべく近くで会話する
- 話すときはゆっくり、はっきり発音するよう心掛ける
- 環境の雑音を可能な限り小さくする
- 紙に書いた情報やジェスチャーなどを併せて使用する
シグニアの補聴器はマスク越しの会話もより聞きやすくなる
補聴器を使用している方は、補聴器の音を調整することでもマスク着用時の声が聞き取りやすくなる可能性があります。ぜひ補聴器を購入した販売店に相談してみてください。
また、当社Signia XperienceシリーズのBluetooth搭載補聴器や、人気のイヤフォン型補聴器Signia Activeもマスク着用時の会話をしっかりサポートします。これらの製品は当社従来製品と比較して、マスクで影響されやすい2,000Hz以上の高めの音を調整し、マスク越しのこもった声も聞こえやすいように耳に届けます。
さらにこれらの製品をご使用の方は、「マスクモード」がご利用いただけます。当社が提供しているスマホアプリ「シグニア アプリ」を開いたら、画面上に「マスクモード」のアイコンが表示されます。そのアイコンをタップするだけで、マスク越しの声をさらにしっかり聞くことができます。「話相手が分厚いマスクを着けている」、「話相手がマスクと、さらにシールドもつけている」等、普段よりも聞き取りにくい場合、「マスクモード」を使うと良いでしょう。

新型コロナウィルス感染拡大を防止するために、マスクの着用はしばらく続くと言われています。マスク着用が日常となった今、会話の時に筆談やジェスチャーを併用する等で、難聴者も聞きやすい環境を作ることが大事です。このような工夫をすると、健聴者の方もより聞き取りやすくなりますので、日ごろから気を付けていきたいものです。