難聴者はどういう時に不便を感じる?より良い聞き取りが必要とされる場面

難聴にはさまざまな種類と特徴があります。まったく聞こえない人、補聴器をつければ聞こえる人など、その状態はさまざまです。難聴の程度や症状は個人差が大きいのですが、共通しているのは、「視覚情報がない場面が苦手」という点です。難聴の方は日常生活のどんなシーンで困っているのでしょうか。

難聴者が不便と感じるシーンは?

 

NHKの番組で、100人の難聴者に対して不便を感じるシーンをアンケート調査したところ、上位は「車内アナウンス」や「エレベーターの非常通報ボタン」、「緊急ダイヤル」となりました。共通点は、「人と対面してのコミュニケーションではない」ところですね。


実は、難聴の方の多くは、無意識のうちに「視覚情報」に重きを置いてコミュニケーションする傾向があります。人の表情や口元の動きを見て多くの情報を読み取り、聞こえていない音声情報を補うのです。ですが、アナウンスや電話等は、音声だけのやり取りをしなくてはいけません。視覚情報がないため、情報を理解しづらくなります。マスクを着けている人と話す時も、話者の口元が隠れてしまうので、難聴の方にとってコミュニケーションをとりづらい状況です。

NHK調査の詳細はこちら

 

複数人の会話が苦手な方も多い

 

 

「職場での会議等の大人数の会話」で困る方も多いようです。職場だけでなく、家族の食卓や飲み会など、人数が多く騒がしい場所で相手の話を聞き取れないという難聴の方は多くいます。

人間には「カクテルパーティー効果」と呼ばれる不思議な仕組みがあります。カクテルパーティーのようにザワザワしたところでも、必要な声だけを探し出して聞くことができ、それ以外の音は気にならなくなる、というものです。これは、聴覚の特別な処理能力です。

難聴になると、このカクテルパーティー効果の機能は弱くなる、または機能しなくなると言われています。複数人が話す場面では、声が全部混ざってしまい、必要な声を聞き取りづらくなってしまうのです。

 

別の調査でも同じような結果が出ています。

日本補聴器工業会が2018年に実施した調査で、難聴者が「より良い聞き取りが必要とされる場面」で、「電話での会話」、「家族との団欒」と「多人数での会話」の回答が上位にきています。

日常の家族・友人との会話が十分に楽しめないのは困りますし、災害時のアナウンスが聞こえないのは安全にかかわる重大なことですね。

難聴に気付いてから補聴器購入まで

 

このような場面で不便を感じるのであれば、なるべく早く耳鼻咽喉科で検査を受けて、対策を検討すべきだとされています。ですが実際は、難聴に気づいてから補聴器を使い始めるまで、数年かかるという調査があります。

日本補聴器工業会の調査で、難聴に気付いてから補聴器を購入するまで平均4~6年かかっているという結果が出ました。その期間は、他の先進国に比べてとても長いのが特徴です。

補聴器をつける決断をするのは、多くの方にとって難しいことです。しかし、補聴器をつけないまま時間が経つと、聞く力が一層低下してしまうケースもあります。そうすると、補聴器をつけても聞く力が戻ってこないこともあります。

 

また、補聴器所有者の54%が「もっと早く補聴器を使用していればよかった」と答えています。なんと半分以上の方がそう思っているのですね。その最大の理由は、「より快適な社会生活が送れたのではないかと思っているから」です。

よりよい聞こえを取り戻すと、様々なメリットがあります。また、補聴器歴の長い方は、社会との関わりが著しく改善したり、身体的にも精神的にも安定したと報告されていて、前向きに新しいことを始める活力を感じています。*

 

聞こえにくくなったな、と思ったら、なるべく早く聴力検査を受けて対策を取りましょう。

 

 

*出典:Marke Trak VIII, Survey of Hearing System Users, conducted by Better Hearing institute, Washington 2011, www.hear-it.org

 

日本補聴器工業会Japan Trak調査結果の詳細はこちら

 

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