災害に備えよう。難聴の方のための防災ヒント
毎年のように発生する、大雨、台風、地震等の自然災害。日頃の災害への備えは、命を守り、必要な支援を得るためにも重要なことです。難聴の方にとって、補聴器はいざという時に使用者を守る大切なものです。いつ起きるか分からない災害に備え、災害時にも問題なく情報収集や意思伝達ができるように、また災害時にも問題なく補聴器が使えるように、防災計画を考えましょう。
大規模な災害が起こると難聴者はどんなことに困るのか
東日本大震災の後、聞こえの悩みをお持ちの方がどんなことで困ったのか調査が行われました:
●テレビ等のメディアから、地震の被害状況や避難場所についての情報を入手しづらかった
●避難場所で放送や呼びかけが聞こえず、食事の配給などの援助が得にくかった
●携帯電話メール、筆談器、補聴器等、日常のコミュニケーションで使用していた機器が使用できなくなったので、孤立してしまった
●離れている家族などと連絡を取り合うのが難しかった
災害時は自分の命、生活を守るために、情報収集は欠かせません。しかし、耳が遠くなると、避難場所でテレビや放送の音を聞き取るのも一苦労ですよね。やはり、情報を得る手段や周りの人とコミュニケーションをとる方法を確保し、支援を得られるようにすることが重要です。
難聴を抱える方の防災
NHKでは、耳の不自由の方が災害時に持ち出す防災グッズとして、下記のものを推奨しています:
●補聴器や人工内耳などの電池
●スマートフォンなど文字情報が得られる携帯端末
●バッテリーや充電器(予備も)
●筆談用具(ホワイトボード、メモ用紙、筆記用具など)
●助けを呼ぶための笛、ブザーなど
●懐中電灯(暗い場所でも手話や文字が見えるように)
●支援を受ける際に配慮してほしいことを書いた「ヘルプカード」など
●障害者手帳やお薬手帳
特に、補聴器や携帯電話は毎日使うものなので、寝る前に枕元やベッドの近くに置いて、いざという時にすぐに持ち出せるようにしておきましょう。
防災は給電方法の確保がポイント
近年、充電式補聴器が普及しつつあります。電池式補聴器は予備の電池を非常持ち出し袋に入れて置けば良いですが、充電式補聴器の場合は?
停電時に避難所に行くと、自宅にいるよりも早く電力が供給される場合がありますが、混雑時は電源タップの取り合いになったという過去の事例もあります。また、コロナ禍で避難所が利用しにくくなる中、自宅や車中で避難するケースも増えるといわれています。
防災のプロのアドバイスでは、そんな時は「ポータブル電源」や電気自動車(EV)のような大型の蓄電池を活用するように、とのことです。補聴器だけではなく、スマートフォンの充電、それに夜に照明器具用の電源として使用できます。
ポータブル電源は、ここ数年のキャンプブームも手伝って家電量販店で様々な種類が販売されています。安いものではありませんが、非常時以外にもキャンプなどに使えますし、ぜひ検討してみてください。
昔、防災のための食料等の備蓄は「3日分」と言われていましたが、政府の防災・減災に関する最近の情報では「災害発生からライフラインの復旧まで1週間以上かかる」として、「1週間分の備蓄」が推奨されています。水や食料などの基本的な物はもちろん、難聴の方は1週間は困らずにコミュニケーションが取れるような備蓄があるか、もう一度見直してみてください。