補聴器を購入する前にチェックする「8項目」とは?

補聴器販売店では、誰でもすぐ補聴器を買うことができるのでしょうか?いいえ、そうではありません。8つのチェック項目のいずれかに当てはまる人は、まずは耳鼻咽喉科を受診してください、と案内されます。その8つの項目とは?どうしてすぐに補聴器を買えないのでしょうか?実は、あなたの耳の健康と安全を守るための、大切なプロセスなのです。

使用者の安全を守り、補聴器の効果を十分に発揮させるため

補聴器は、難聴によるコミュニケーション障害を補うための医療機器です。聞こえ方を「補聴」する機器として、一人一人の聴力に合わせて、会話を理解しやすいように調整する必要があります。難聴者の安全を守るため、また、補聴器の効果が十分に発揮できるように、補聴器の製造や販売に様々な規制がかかっています。

販売店は、お客様の耳の状態を確認し、補聴器装用よりも医療的診断が必要と判断した時には、まずは耳鼻科の先生に診てもらうように促してくれます。その際に使用されるガイドラインが、日本補聴器販売店協会によって定められた「禁忌8項目」です。もしあなたがこの8つの項目のどれか1つでも該当する場合、必ずまず耳鼻咽喉科を受診してください。特に初めて補聴器を購入する場合、ご自身の耳の状態や聞こえを把握するためにも、まず耳鼻咽喉科の先生に補聴器を検討している旨を相談してみましょう。

「禁忌8項目」の内容は?

• 耳の手術を受けたことがある

手術を受けた後の耳は、外耳道(耳あな)の形が変形していたりして、補聴器の装用に注意が必要な場合がありますので、耳鼻咽喉科の受診が必要です。

• 最近3ケ月以内に耳漏(みみだれ)があった

中耳炎、外耳炎など耳の炎症による聴力低下の可能性も考えられます。まずは病状の診断や回復が優先されるべきなので、受診が必要です。

• 最近2ケ月以内に聴力が低下した

急激な聴力の変化は、耳の病気が原因かもしれません。病気で低下した聴力は、早期治療により回復する可能性もあります。できるだけ早く受診する必要があります。

• 最近1ケ月以内に急に耳鳴りが大きくなった

耳鳴りが急に大きくなる原因は様々ですが、脳や聴神経の病気による可能性もあるため、自分では判断せずに耳鼻咽喉科で診てもらってください。

 

• 外耳道(耳あな)に痛み、または、かゆみがある

外耳道に炎症がある可能性があり、補聴器装用よりも病状の回復を行わなければなりません。

• 耳あかが多くたまっている

耳あかが耳あなに詰まり、「耳垢栓塞」が生じている場合、耳あかを取り除くことで聴力が回復する場合があります。自分で道具を使って耳掃除するのは耳を傷つける可能性があるので、耳鼻咽喉科での適切な処置が必要です。

• 聴力測定の結果、平均聴力の左右差が25dB以上ある

通常、加齢による難聴の多くは左右対称に起こります。両耳の聴力差が大きい場合、聞こえが悪い方の耳には何らかの病気がある可能性があります。また、補聴器を装用する場合、両耳に使用するのがよいのか片耳だけがよいのか、医師による総合的な判断も必要です。

• 聴力測定の結果、500、1,000、2,000Hzの聴力に20dB以上の気骨導差がある

2種類の聴力測定方法(ヘッドフォンで測定する気導、耳の後ろを圧迫して測定する骨導)の聴力差が20dB以上ある場合は、治療による聴力改善が見込めます。そのためまず耳鼻咽喉科の診察を受けてください。

「耳垢栓塞」と耳のケアについてはこちら

 

すぐに補聴器が欲しい!と思うかもしれませんが、この8つの項目のチェックはあなたの健康と安全のためにとても大切なことです。

これ以外にも耳の不快感や症状、聞こえについてのお悩みごとがあれば、耳鼻咽喉科の先生にご相談ください。病気等の治療はもちろん、あなたの聞こえに補聴器は有効かどうか、補聴器をつける時の注意すべき点もチェックしてくれます。特に「補聴器相談医」と認定された耳鼻咽喉科の先生は、適切な補聴器を利用できるようにお話ししてくれますので、安心して補聴器を使用できますね。

補聴器を使っても大丈夫、また補聴器が有効だと判断されたら、お近くの補聴器販売店にご相談ください。補聴器に関する専門知識を持った販売員が、あなたのニーズに合わせて補聴器選びを手伝ってくれます。


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