1000人に1人?子供の難聴について考える

子供の難聴は、ほかの先天性疾患に比べて発生率が高いといわれています。子供にみられる難聴は生まれながらの「先天性難聴」と、成長の過程で起こる「後天性難聴」とに分けられます。先天性難聴だけで1000人に1〜2人いるとされ、さらに後天性難聴を加えると、小児難聴の患者はおおよそ600人に1人の割合になると報告されています。

先天性難聴

先天性難聴の原因は遺伝、妊娠中の感染などが指摘されています。最近の研究では、半数以上が遺伝によるものと推定されています。また、妊娠中に母親が特定のウィルスなどに感染し、おなかの赤ちゃんも感染して、赤ちゃんに難聴を引き起こす場合があります。そのため、妊娠前に風疹などの予防接種が推奨されているのです。

先天性難聴を見分けるために、日本国内では生後1か月以内に聴覚スクリーニング検査を受けることができます。この検査は、産科や助産院などの医療機関で出生後にすぐ行うもので、精度が高く、痛みや体への影響のない安全な検査です。先天性難聴の早期発見につながりますので、その費用を助成している自治体もあります。

また、家庭でも簡易的にチェックすることもできます。突然大きな音が聞こえたときに、ビクッとして手足を伸ばしたり、動いたり、目を見開いたり、泣き出したりするかどうか、よく観察してください。

後天性難聴

生まれた時に聴力は正常でも、生まれてから何らかの問題により生じる後天性難聴もあります。成長の過程で起こる後天性難聴の代表的な原因は「中耳炎」です。中耳に膿がたまる「急性中耳炎」にかかると難聴が誘発されますが、これは一時的なもので、中耳炎が治れば症状が緩和されます。 一方、幼児に多くみられる「滲出性中耳炎」は中耳に液体がたまるもので、併発する難聴は軽い場合が多いのですが、数年にわたって続くことがあり、言葉の発達への影響が大きいと言われています。 その他、おたふくかぜによる「ムンプス難聴」、細菌性髄膜炎や頭部のけがなどによって引き起こされる難聴もあります。

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子供の難聴の兆候

難聴は目に見えず、赤ちゃん自身は症状を訴えることができません。そのため、23歳になってその子の言葉が少ないことに周囲の大人が気づき、初めて難聴が発見されるというケースも少なくありません。家庭では子供が音に適切に反応しているか、常に注意しておくことをお勧めします。

また、公的な検診もぜひ利用してください。子供が3歳になるまでに複数回の耳の健診があり、就学時にも聴力の検査があります。そこで異常が見つかった場合、また健診時以外でも言葉の発達に不安がある場合はすぐに、かかりつけの小児科、あるいは耳鼻咽喉科でさらなる精密な検査と治療を受けることをおすすめします。

早期発見・早期治療がポイント

言葉の発達のためには、生まれてからなるべく早く、なるべく多くの言葉の刺激を受けることが大切です。赤ちゃんの時に難聴によって脳に言葉が入力されないと、後々の言語発達に取り返しのつかない影響が生じます。子供の難聴は放っておくと、言葉の発達が遅れるだけでなく、学習やコミュニケーションにも影響を及ぼします。早期発見し、適切な治療を始めれば、言語発達への影響を最小限に抑えられることが、多くの国々の研究で確かめられています。

新生児聴覚スクリーニング検査で異常が見つかった場合は、生後3か月までに耳鼻咽喉科での確定診断、6か月までに治療を開始することが推奨されています。難聴の原因によってはお薬や手術で聴力改善できることもあります。お薬、手術で治せない難聴がある場合は、補聴器装用を行うこともあります。補聴器では十分に聴力を補うことができない場合は、人工内耳という器械を耳の奥に手術で埋め込むこともあります。

子供の難聴は、とにかく早めの対処が大切です。家族で「この子は耳が聞こえにくいのでは」と、少しでも不安に思うことがあれば、まず小児科や耳鼻咽喉科の先生にご相談ください。

 

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